新潟大学では、新潟県特有の地域課題である「建設業の技術者不足」「中小企業・小規模事業者の後継者不足」の解決を図るべく、域内企業や学生等へのリカレント教育を行い、将来的に企業の中のリーダー役を担える人材の育成をめざし、プログラムの中で様々な講座を展開しており、その中の1つに今回ご紹介する「イントレプレナー養成講座」があります。
講座内では、株式会社NTT DXパートナー社の「架空商品モール」という生成AIツールを活用したアイデア創出、フィールドワークを通じた仮説検証、POC検証まで実施し、企業の中で新規事業を創出するために必要なマインドの醸成とスキルの習得をめざします。
今年度は2025年12月12日から2026年3月9日の期間、全5回の講座を開講し、株式会社NTT DXパートナーシニアマネージャー片岡直之氏を講師として、9名が受講しました。参加企業2社(株式会社青芳、新和メッキ工業株式会社)が、実際に新商品の試作品を完成させる成果が得られたほか、経営者自身の意識変革や社員のマインドセットの変化など、人材育成の面でも顕著な成果が確認されました。
講座の様子



今回は、プログラム修了後に課題持ち込み企業である「新和メッキ工業株式会社 瀧見 直晃 様」からお話を伺いました。
1. 受講前の課題意識と講座参加の動機
なぜ「イントレプレナー養成講座」を受講しようと思ったのですか?商品開発における悩みなどはありましたか?
2025年9月18日(木)の「企業×大学×学生 共創プロジェクト創出マッチングイベント」にて講座の企画担当の方から声をかけていただいたことがきっかけです。
学生や他企業と一緒にものづくりができるという話を聞き、「それは面白そうだな」と思いました。自社内だけでは得られない、学生や他社の視点が入ることで新しい 発想が生まれる可能性を感じ、参加を決めました。
2. 講座での具体的な学びとマインドセットの変化
講義やワークショップを通じて、視点や考え方にどのような変化がありましたか?
弊社からは私を含め3名で参加しましたが、それぞれの立場で大きな学びがありました。
参加した2名の社員にとっては、新しい考え方を学び、ゼロから製品づくりを行う理論的なプロセスを体験できたことが非常に大きな刺激になったと感じています。社内だけでは経験できない体系的な手法を学べたことは、今後の製品開発において大きな武器になるはずです。
私自身、経営者としてデザイン思考などの知識は多少ありました が、普段はどうしても自分の「感覚」や「会社都合」での、ものづくりを進めてしまう面がありました。しかし、今回、他社の方がチームに入ることで、ペルソナやフレームワークといった客観的なプロセスに沿って考える環境で、理論に基づいたものづくりを学び直す貴重な機会となりました。
3. 商品開発の過程で印象に残っているエピソード
講座のなかで特に印象に残った学びは何ですか?
座学で学んだ理論を、講座内ですぐにグループワークで実践し、実際の製品化に向けて動けた点が非常に良かったです。机上での学びだけでなくアウトプットをセットで行うことで、学びが非常に深いものになりました。
また、弊社の装置を使ってチームの皆さんに新商品開発のアイデア創出に向け「チタンの色が変わる体験」をしてもらったことも印象深いです。ただ「色が変わる」という説明を聞くのと、実際に手を動かして色が変わる瞬間を見るのとでは、納得感が全く違うため、この体験を通じてチームの中に製品への愛着や共感が生まれ、全員が同じ方向を向くことができました。また、この「体験による共感」こそが、ものづくりの勢いを加速させる機会であり、講座を通した強みであると改めて確信しました。
開発の過程で苦労した点はありましたか?
実際のユーザーに対するインタビューには非常に苦労しました。生成AIを使ってアイデアを出すまではスムーズでしたが、いざ生身の人間に話を聞くとなると、質問の仕方や深掘りが想像以上に難しかったです。マニュアル通りにはいかない、経験が必要な工程だと痛感しました。
4. 受講の成果と今後の展望
受講を通じて得られた成果と、今後の展開について教えてください。
具体的な成果として、新商品アイデアから2種類の「しおり」の試作品完成まで至ることができました。これについては、2026年度4月から実際に事業化・製品化に向けて動いていきたいと考えています。
また、弊社メンバー3名の中で「ゼロからの正しい製品開発プロセス」を共有できたことは、弊社にとって大きな財産です。プロダクトアウトではなく、マーケットインの視点も持ちながら、学んだプロセスに弊社の強みである「体験」を組み込んで、新しい製品開発を加速させていきたいです。
5. 次年度の受講を検討している企業へのメッセージ
どのような方にこの講座を勧めたいですか?
BtoCに興味がある製造業の若手社員の方には、ぜひお勧めしたいです。
弊社のように試作をパッと形にできる企業とワークショップを共にすることは、非常に刺激的な経験になるはずです。課題を持ち込む企業と参加する企業、双方が学び合える良い機会になりますし、学んだプロセスを自社に持ち帰り、組織全体で取り組む形にすれば、より大きな学びと成果が得られると思います。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
新潟大学は、今後も地域企業・地域社会の抱える課題の解決に資する機会を設け、人材の確保や育成、新産業創出などを通した企業の魅力向上に向けて取り組んでまいります。

社内起業家を育てる「イントレプレナー養成講座」Vol. 2
新和メッキ工業株式会社 瀧見 直晃 様
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